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今回はトイレ用リフトの設置事例をご紹介させて頂きます。リフトと言うとクレーンのように吊り上げるタイプのリフトを想像するかと思いますが、歩行や立位保持が可能な場合は、今回のようなリフトをご提案させていただいています。大型のリフトは設置できない箇所でも、トイレ用リフトであれば設置できる場合もあります。
利用者様の状況
前回階段昇降リフトを設置させていただいた利用者様です。
徐々に全身の筋力が低下する難病で、屋内移動は車いす、短時間での自立は可能で歩行は介助が必要な状態でした。下肢筋力の低下により、5センチの補高便座を使用しても介助が無ければ立ち上がれない状態です。
ご本人の希望
トイレの立ち座りを自分一人で行いたい。勢いよく座ってしまわないよう便座の高さを
上げたい。
提案内容
トイレ用リフトを設置し、便座への立ち座りを負担なく安全に行うことができるよう環境整備する。トイレ内の手すりも使いやすい位置に変更する。
トイレリフト設置前
床から便座までが約40センチ、その便座に5センチの補高便座を取り付け床から約45センチとなります。
家族様が取り付けた手すりと、介助でなんとか立ち座りが可能な状態でした。
トイレリフト設置後
TOTOのトイレリフトを取り付けさせていただきました。
ウォシュレットはTOTO製に変更が必要で、蓋は取付できません。便器(トイレ本体)は変更することなく取り付け可能でした。ひじ掛け式の手すりも標準装備で、立ち座りの動作支援を行います。
昇降時写真
写真はリフトを最大まで上昇させた写真です。便座が床から60センチの高さとなり、設置前より約20センチほど上昇することになります。もちろん任意の高さで止めることができますので、微調整は可能です。
昇降モードの設定
昇降モードが2パターンあり、垂直昇降と斜め昇降を選択することができます。斜め昇降は垂直昇降よりも、若干便座高さが低くなります。今回は少しでも高くとのご要望でしたので、垂直昇降モードで設定させていただきました。
最後に
最後に、既存手すりの位置や長さを調整させていただき、工事を完了いたしました。
後日、使用感についてお伺いしたところ、すべてのトイレ動作をお一人で行うことは難しいとのことでした。トイレ動作は移乗や立ち座りだけでなく、衣服の着脱時に介助が必要な場合もあります。しかし、介助者の負担は大幅に軽減されているとご家族様とヘルパー様からご意見をいただきました。
ポータブルトイレやおむつの利用は、リフトの導入よりも安価で手軽な選択肢ですが、利用者様が自分の意思でトイレに行きたいという気持ちを尊重することも非常に重要なことだと我々は考えています。利用者様の生活の質を向上させるために、環境や福祉用具の提案を今後も重ねて参ります。